9月に入っても、日中はまだ半袖で過ごせる日が続きます。そんな時期にいちばん扱いに困るのが帽子です。麦わら帽子はさすがに早いのか、それともまだいけるのか。服は替えたのに帽子だけ夏のまま、という状態になりがちな季節でもあります。この記事では、帽子の衣替えをいつ・何を基準に判断すればいいのかを、気温と素材の両面から整理します。
帽子の衣替えは、最高気温が25℃を下回る日が続きはじめたころが目安です。ただ、気温は日によってぶれるため、足元や上着がすでに秋物に替わったかどうかを基準にすると迷いにくくなります。この記事では、秋の帽子で定番となる素材4つの違いと選び方をまとめました。9月の端境期を乗り切る通年素材の使い方、夏素材の帽子をしまうときのひと手間もあわせて解説します。
帽子の衣替えはいつ?切り替えを判断する2つの目安
最高気温が25℃を下回る日が続きはじめたころ。これが帽子の衣替えのひとつの目安になります。
暦のうえでの衣替えは、秋服が9月1日とされています。ところが実際の9月は最高気温25〜29℃あたりで推移することが多く、夏日が普通に並ぶ月。日付だけを見て替えると、早すぎて暑い思いをするか、遅すぎて季節外れに見えるかのどちらかになりがちです。
目安1:最高気温が25℃を下回る日が続いたら
気象庁は、1日の最高気温が25℃以上の日を「夏日」と呼んでいます。つまり25℃は、暑さが残っているかどうかの分かれ目にあたる数字。この25℃を下回る日が続きはじめたら、帽子も秋のものへ替えていく時期にあたります。
東京あたりを例にすると、10月の最高気温は21〜24℃が目安です。半袖から長袖へ切り替えるタイミングとおおよそ重なります。もちろん地域差はあり、東北などでは9月半ばに、九州などの暖かい地域では11月に入ってから、という差が出ます。お住まいの地域の気温で判断してください。
目安2:「服の素材」に合わせると迷いにくい
とはいえ、気温は日ごとにぶれます。25℃を下回った翌日にまた30℃近くまで上がる、ということも珍しくありません。そこでもうひとつ、判断しやすい軸を持っておくと便利です。それが「いま履いている靴と、いま羽織っている上着の素材」。
足元がサンダルやキャンバス地のスニーカーから、スエードやレザーの靴に替わった。薄手のニットやジャケットを着はじめた。そのタイミングで帽子も替えます。この基準なら、天気予報を見なくても判断できます。
なぜ服に合わせるとうまくいくのか。帽子は顔のすぐ上にあり、人の視線がいちばん集まる位置にあるからです。全身が秋の装いになっているのに帽子だけ透け感のある夏素材だと、そこだけ浮いて見えてしまいます。逆にいえば、帽子の素材を替えるだけで全身の印象が季節に追いつくのです。
夏のあいだの帽子選びについては、夏の帽子コーデ入門|「暑い・蒸れる」悩みを解消するスタイリング術でも解説しています。
夏素材と秋素材、何がどう違う?
違いは大きく3つ、「通気性」「厚み」「見た目の温度感」に整理できます。
夏素材は、麦わらやペーパー、リネン、メッシュのように編み目や織りに隙間があるものが中心です。空気を通し、熱を逃がす方向に働きます。一方の秋素材は、ウールやフェルト、コーデュロイ、ニットのように空気を含んで保温する方向に働くものが並びます。
| 比較軸 | 夏素材(ペーパー・麦わら・リネン・メッシュ) | 秋素材(ウールフェルト・コーデュロイ・ニット) |
|---|---|---|
| 通気性 | 高い。編み目に隙間があり熱がこもりにくい | 低め。空気を含んで保温する方向に働く |
| 厚み・密度 | 薄く軽い。光を通す透け感がある | 厚みがあり、光を通さない |
| 見た目の温度感 | 明るく涼しげ。白・生成り・ベージュが中心 | 落ち着いて温かい。ブラウン・カーキ・チャコールが中心 |
| 扱い方 | 汗や皮脂の汚れが出やすい | 型崩れと虫食いに注意したい |
この4つのうち、実際に人の目に触れているのは3つめの「見た目の温度感」だけです。通気性や厚みは、主にかぶっている本人の快適さに関わる部分です。季節外れに見えるかどうかを決めているのは、ほぼ色と質感。ここを押さえておくと、後で触れる端境期の対処もぐっと楽になります。
秋に選びたい素材4つ
秋の帽子で定番になる素材を4つ紹介します。それぞれ「どんな素材か」「得意なこと」「選ぶときの注意点」の順に見ていきましょう。
ウールフェルト — 秋冬の帽子の王道
羊毛などの繊維を絡ませて圧縮した、縫い目のない生地。布を縫い合わせて作る帽子と違い、形を自由に立体成形できます。
中折れハットやボーラーハットのように、フォルムがはっきりした帽子に多く使われる素材です。きれいめの装いによくなじみ、コートを羽織る季節になるほど本領を発揮します。
注意したいのは、まだ暖かい時期には向かないこと。快適にかぶれるのは15℃以下が目安とされ、それより暖かいと蒸れを感じやすくなります。9月の残暑にはやや早い素材といえるでしょう。水にも強くはありません。雨に濡れたら乾いた布で水分を取り、形を整えて自然乾燥させてください。
コーデュロイ — カジュアルに寄せたいとき
縦方向に走る畝(うね)が特徴の綿素材です。表面に凹凸があるぶん、同じ綿でも季節感が大きく変わります。
バケットハットやキャスケットによく使われ、デニムやスウェットとの相性が良い素材。9月の後半あたりから、ウールより一足早く取り入れられます。
選ぶときは畝の太さを見てください。畝が太いほどカジュアルに、細いほど落ち着いた印象に振れます。きれいめの服に合わせたいなら、細畝のものが扱いやすくなります。
ウール混のニット — 温度調整がしやすい
ウールにアクリルや綿を混ぜた編み地です。混ぜる割合によって、暖かさと扱いやすさのバランスが変わります。
折り返しの有無で深さを調整できるため、その日の気温に合わせやすいのが利点。10月以降の肌寒い日に活躍します。
ただし、真冬向けの厚手を秋口に選ぶのは考えものです。9月から10月にかけては、薄手のコットン混から入ると失敗が少なくなります。
スエード調・ツイード — 素材で季節を語るタイプ
スエード調は表面を起毛させた質感の生地。ツイードは色の異なる糸を織り込んだ厚手の織物で、もともとは羊毛を使った毛織物を指します。どちらも表面の情報量が多く、それ自体が秋らしさを伝えます。
ベレー帽やハンチングに多く、シンプルな服に1点足すだけで季節感が出る素材です。無地のシャツやニットに合わせるとよく映えます。
注意点は主張の強さ。柄物の服と重ねると全身の情報量が多くなり、ごちゃついて見えやすくなります。服が無地の日に選ぶと収まりが良くなります。
9月の端境期をしのぐ「通年素材」という選択
9月は、夏素材には遅く秋素材には早い、どちらつかずの時期です。この時期は、季節をまたいで使える素材を挟むと乗り切りやすくなります。
手は2つあります。
- 通年素材に替える — コットン、ポリエステル、ナイロンといった素材は、季節を選ばずに使えます。バケットハットやキャップなら形の面でも通年で通用します
- 素材はそのままで、色を秋に寄せる — ダークブラウン、暗めのベージュ、グレー、黒。濃い色を選べば、ペーパー素材でも9月半ばまでは違和感が出にくくなります
とくに2つめは、新しく買わずに手持ちで対応できる手です。先に触れたとおり、季節外れに見せているのは色と質感の印象が大きい部分。素材が夏のものでも、色が秋に寄っていれば全体は成立します。白やナチュラルカラーの帽子だけを先に休ませる、という切り替え方も現実的でしょう。
夏素材の帽子はどうしまう?切り替え時のひと手間
しまう前のひと手間で、来年出したときの状態が変わります。手順は次の3つです。
- 内側のスベリを拭く — 額が当たる部分には汗や皮脂が残っています。固く絞った布で軽く拭き取ります
- 陰干しで乾かす — 直射日光は色あせの原因になります。風通しの良い日陰でしっかり乾かします
- 形を保って保管する — 中に丸めた紙などを詰め、上から物を載せない場所へ。通気性のある場所を選びます
汗じみを残したまましまうと、翌シーズンにシミとして浮き出てくることがあります。ペーパー素材は水洗いができないものが少なくありません。その年のうちに拭いておくほうが安全です。
素材ごとの詳しい洗い方は帽子のお手入れ方法を素材別に解説|洗い方・保管のコツにまとめています。収納の具体的なコツはシーズンオフの帽子収納|長持ちさせる5つのポイントをご覧ください。
秋素材の帽子をコーデになじませるコツ
秋素材の帽子は、服との「素材の重さ」をそろえると自然になじみます。コツは3つです。
色を服の中の1色とそろえる。 バッグや靴と色を合わせると、帽子だけが浮くことはなくなります。ブラウンの靴にブラウンのフェルトハット、というように、すでに全身にある色から選ぶのが手堅い方法です。
素材の重さをそろえる。 薄手のシャツ1枚にウールフェルトを合わせると、帽子だけが重く見えてしまいます。フェルトを使うなら、ジャケットやコートを羽織る日。9月のシャツスタイルには、コーデュロイや薄手のニットのほうが軽くまとまります。
秋素材は1〜2点までにおさえる。 ここが意外と見落とされがちなところです。帽子がフェルト、アウターがコーデュロイ、靴がスエードとなると、起毛素材ばかりで全身が重くなります。秋らしさは1点か2点で十分に伝わるもの。帽子で季節を出すなら、他はすっきりさせておくくらいでちょうど良いバランスになります。
まとめ
帽子の衣替えについて、押さえておきたいのは次の3点です。
- 時期:最高気温25℃を下回る日が続いたころが目安。迷ったら足元と上着の素材に合わせる
- 素材:夏素材と秋素材の違いは通気性・厚み・見た目の温度感。季節外れに見せているのは主に色と質感
- 端境期:9月は通年素材を挟むか、色を濃いものに寄せて乗り切る
素材を替えるだけで、同じ服でも印象は秋に切り替わります。イチヨンプラスでは、秋にかぶりやすい素材の帽子も取り揃えています。今年の衣替えに合う一枚を見つけてみてください。


